死亡事故の賠償金を加害者が払えないときはどうする?

死亡事故の賠償金を加害者が払えないときはどうする?

死亡事故の賠償金は、被害者遺族の生活にとって重要なものです。しかし、加害者の対応や保険の加入状況によっては、スムーズに賠償金の支払いを受けられないこともあります。

今回は、加害者から賠償金の支払いを受けられずお困りの方に向けて、死亡事故の賠償金を加害者が払えないケース加害者が賠償金を払えない場合の対処法について解説します。

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目次

死亡事故の賠償金を加害者が払えないケース

加害者が任意保険に加入していない場合には、賠償金の支払いを受けられない可能性があります。

通常の場合、交通事故の賠償金は、加害者が加入する保険会社から支払われます。しかし、加害者が任意保険に加入していない場合、加害者から直接賠償金を回収しなければなりません。任意保険に加入していない加害者は支払能力がない可能性が高く、十分な賠償金を支払わせるのは容易ではありません。

加害者に賠償金を支払わせる方法には、以下があります。

加害者に賠償金を支払わせる方法
  • 長期の分割払いで支払ってもらう
  • 訴訟提起と強制執行で加害者の財産を差し押さえる

しかし、いずれの方法も加害者に定期的な収入や財産がなければ有効な手段とはなりません。そこで、次の項目では加害者が賠償金を払えない場合の対処法を解説します。

加害者が賠償金を払えない場合の対処法

加害者が賠償金を払えない場合の対処法は、以下の4つです。

加害者が賠償金を払えない場合の対処法
  • 自賠責保険に被害者請求する
  • 被害者自身が加入している保険を利用する
  • 政府保障事業制度を利用する
  • 弁護士に相談する

それぞれの方法について詳しく解説します。

自賠責保険に被害者請求する

加害者が自賠責保険に加入している場合には、自賠責保険への被害者請求によって、自賠責保険から賠償金の支払いを受けられます。

自賠責保険への加入は、法律で義務付けられています。任意保険に未加入の加害者でも、自賠責保険には加入している人がほとんどでしょう。

しかし、次のケースでは、自賠責保険の被害者請求も利用できません。

自賠責保険の被害者請求が利用できないケース
  • ひき逃げで加害者がわからない場合
  • 無免許運転で自賠責保険に未加入の場合
  • 自賠責保険の有効期限が切れていた場合

また、被害者請求が可能な場合でも、自賠責保険から受け取れるのは最低限の賠償金のみです。死亡による賠償金は、被害者1名につき3,000万円が限度額となっており、それを超える賠償金については自賠責保険からの支払いを受けることができません。そのため、十分な賠償金を受け取るには、他の手段についても検討する必要があります

被害者自身が加入している保険を利用する

被害者自身が加入している自動車保険に、人身傷害保険無保険車損害保険が付帯している場合には、被害者自身が加入している自動車保険から保険金を受け取れます。

人身傷害保険と無保険車損害保険は、加害者が任意保険に加入していない場合だけでなく、ひき逃げで加害者が誰なのかわからない場合にも利用できる保険です。

人身傷害保険は、交通事故による「死亡」「後遺障害」「怪我」を補償対象とする保険で、利用すると被害者自身の過失の有無や割合にかかわらず、規定による保険金を受け取れます。

無保険車損害保険は、交通事故による「死亡」「後遺障害」を補償対象とする保険です。被害者の過失分は補償の対象外となりますが、多くの任意保険に自動付帯されているため、人身傷害保険を付帯していない場合や、人身傷害保険に補償上限を設定している場合に有益な保険と言えます。

加害者が任意保険に加入していない場合には、被害者自身が加入している保険の内容を確認して、使える特約がないかを検討してみてください。

政府保障事業制度を利用する

加害者が自賠責保険にすら加入していない場合には、政府の自動車損害賠償保障事業(政府保障事業)を利用することで、自賠責保険と同等の賠償金を受け取れます

政府保障事業とは、無保険による事故やひき逃げ事故の被害者に対して、国が自賠責保険と同等の損害を補填する救済制度のことです。政府保障事業を利用すれば、自賠責保険と同等の最低限度の賠償金を受け取ることができます。

ただし、自賠責保険の基準を超える十分な賠償を受けるには、他の手段との併用を検討する必要があります。

参照:政府保障事業|国土交通省

弁護士に相談する

加害者から死亡事故の賠償金を支払ってもらえない場合には、早い段階で弁護士に相談することをおすすめします

加害者が被害者遺族との交渉に応じない場合でも、弁護士であれば交渉に応じてくれる可能性はあります。弁護士に手続きを依頼すれば、被害者と分割払いの交渉をしたり、訴訟による財産の差し押さえを行ったりなど、加害者自身から賠償金を回収できる可能性も高くなるでしょう。

遺族が加害者と交渉したり、保険請求の手続きを進めたりすることは、精神的に大きな負担となります。賠償金の相場がわからずに、自賠責保険の賠償だけで納得してしまうこともあるかもしれません。

死亡事故の賠償金は、被害者遺族の生活を支える大切なものです。死亡事故でお困りの場合は、まず弁護士に相談することをおすすめします。

なお、死亡事故の慰謝料相場については、こちらの記事で解説していますので、あわせてご確認ください。

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