過失相殺とは?基本的な考え方や納得がいかないときの対処法について

過失相殺とは?基本的な考え方や納得がいかないときの対処法について

交通事故では様々な事項について交渉する必要があるのですが、その一つに過失割合があります。過失割合とはどのようなものか調べていると、法律的には「過失相殺」という制度が関連しているという記載をよく見かけるかと思いますが、この過失相殺とはどのような制度なのでしょうか。

本記事では、過失相殺とはどのようなものかを中心に解説します。

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目次

過失相殺とは

過失相殺とは、損害賠償請求をするにあたって、被害者側に過失がある場合に、その過失を考慮して損害賠償額を減額する制度です。

過失相殺の法的根拠と基本的な考え方

過失相殺については、債務不履行における損害賠償について民法第418条に、不法行為による損害賠償では民法第722条第2項(民法第418条を準用する)に規定されています。

これらの損害賠償請求については、発生した損害について公平に分担するために各種規定が置かれています。発生した損害について請求側にも過失がある場合、その過失を考慮することが損害の公平な分担という趣旨に合致するため、このような規定が用意されています。

たとえば、発生した損害が1,000万円で、その発生に被害者の過失が2割程度関係していると評価できる場合、損害賠償請求で請求できるのは800万円となります。

交通事故における過失相殺

交通事故では、加害者が被害者に対して不法行為を行っているので、民法第709条以下に規定される不法行為損害賠償請求ができます。そして、交通事故において被害者にも過失があるケースはたくさんあります。

たとえば、信号無視の自動車と交通事故を起こした場合で、自分もスピード違反をしていたといったケースが考えられます。スピードをもっと落としていれば大怪我にならずに済んだといえる場合でも、発生した損害の全額を請求できるとするのは、公平な損害分担の趣旨に合わないため、被害者に過失がある場合には過失相殺がされます。

過失割合との関係

過失割合とは、過失相殺の規定に基づき、交通事故における当事者の過失を考慮した責任の割合を指します。

交通事故の実務では過失割合の用語のほうが多く利用されますが、ベースとなる法的根拠は過失相殺の規定となります。過失割合は双方の過失がどれだけなのかを判断するための割合で、たとえば被害者に2割の過失がある場合には、8:2あるいは80:20という形で表現されます。損害額が1,000万円で過失割合が8:2である場合、請求できる額は800万円ということになります。

過失割合について争うことは、被害者に対して過失相殺を主張し、損害賠償の減額を求めることと同義といえます。

交通事故で過失相殺の額はどうやって決まるのか

交通事故が発生した場合に、過失相殺により、どの程度損害賠償から控除されるのかはどうやって決まるのでしょうか。

過失相殺は当事者間での話し合い、もしくは裁判で決める

損害額をいくらにするかは、当事者で話し合って決めることができます。損害額を決める要素の一つである過失相殺の内容も、当事者間で決めることができます。もっとも、納得がいかない場合は、被害者が加害者を相手に裁判を起こし、裁判所の判決によって決定されることになります。

実務での過失相殺の額の決め方

実務では過失相殺は交通事故の類型から基本割合を求め、そこから個別の事情による修正を行います。

本来、どちらにどれだけの過失があるかは、一件一件判断しますが、交通事故においては過去の判例などの蓄積があり、おおよその過失割合の判断ができます。そのため交通事故の類型ごとの基本の過失割合を求めます。

もっとも、たとえば同じ交差点での交通事故でも、被害者がスピードを出しすぎていた、加害者が脇見運転をしていたなど個別の事情があります。これらの個別事情は、修正要素として基本割合に調整を加えることで、最終的な過失割合を決めて過失相殺の額を確定します。

たとえば、いわゆる右直事故の場合で双方とも青信号である場合、直進車が優先されるものの直進車にも注意する義務はあるので、基本の過失割合は8:2とされています。これに、スピード違反や脇見運転・飲酒運転、右折の方法などの個別の事情を加味して、最終的な過失割合を計算します。

基本の過失割合や修正要素については、実務では「別冊判例タイムズ 民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準」という書籍にまとめられています。

保険会社の主張する過失割合に納得がいかない場合の対応

保険会社が主張する過失割合に納得いかない場合は弁護士に相談しましょう。

保険会社は、賠償金額をできるだけ抑えることを目的として交渉を行います。そのため過失割合についても自社の都合のみで主張してきます。保険会社が被害者側の過失として主張する事実や、基本の過失割合・修正要素など、様々な面で争うことになり、適切な証拠を示して反論する必要があります。そのため、まずは弁護士に相談することをおすすめします

まとめ

本記事では、過失相殺について解説しました。

過失割合についての法的根拠となるのが過失相殺で、交通事故では高い確率で争われます。保険会社の主張が適切かどうかを判断するためにも、まずは弁護士に相談することをおすすめします。

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