診断書を後から書いてもらう場合の注意点とは?

交通事故直後に体を強く打ち、病院を受診したものの異常が見つからず、怪我人のいない物損事故として処理された後に、時間が経ってから痛みを感じることがあります。この場合、診断書を取得して人身事故に切り替えることが可能です。その際は、診断書を後から作成してもらうことになりますが、そのときに注意すべき点は何でしょうか。
本記事では、診断書を後から書いてもらう場合の注意点について解説します。
診断書は後から書いてもらえるのか
診断書を後から書いてもらうことは可能です。
医師法第19条第2項では、診察をした医師に診断書交付を請求した場合、正当の事由がなければこれを拒んではいけない旨を規定しています。したがって、交通事故の診療を受けた後に、診断書を書いてもらうことも可能です。
診断書を後から書いてもらうパターンには次のものがあります。
交通事故時に診断書をもらうのを忘れていた
交通事故で救急車で運ばれたものの、診断書をもらうのを忘れていた場合があります。
人身事故として処理する際に警察に提出したり、保険会社に提出することになるので、後日請求した場合、上述の医師法第19条第2項の規定に従って医師は交付する必要があります。
交通事故直後に受診し診断書をもらった後に新たな症状が出た
交通事故直後に受診し、診断書をもらったものの、後に新たな症状が出た場合に、その症状についてあらためて診断書が必要となる場合があります。
交通事故直後は体が興奮状態になっており、痛みを感じにくいことが知られています。最初の診断では軽微な怪我についての診断書を得るも、のちのち酷いむちうちの症状が出てきた場合には、むちうちの症状があることについて診断書が必要です。
この場合には、新たな症状についてもきちんと診断した上で、新たに書き直してもらうことができます。ただし、最初の受診から間が空いていると、怪我と交通事故との因果関係が否定される場合もあります。そのため、新たな症状が出た場合には、早めに診察するようにしましょう。
診断書に一部症状が記載されていないので書き直してもらう
診断書を取得したものの、その内容に一部症状が記載されていないので、書き直してもらうことがあります。
たとえば、体を打って傷が出来、むち打ちで背中や首にも痛みが残っているにもかかわらず、傷が出来たことについてのみ診断書が作成されている場合です。むちうち症状について記載されていないのできちんと記載してもらう必要があります。
この場合にも基本的には医師による診察をさらに受けて、現在の症状について書き直してもらう必要があります。
事故直後には病院を受診していなかったところ後日痛みが出てきた
交通事故直後は何とも無かったので病院を受診していなかったところ、後日痛みが出てきた場合には、警察に人身事故として届け出をするには診断書が必要です。
交通事故直後は何ら怪我をしていなかったような場合には病院に行かないことがあります。しかし、上述したように後から痛みなどが出てくることがあり、むちうちが判明することもあります。この場合には、直ちに医師による診察を受けて診断書を作成してもらいます。
診断書をもらったものの、後に新たな症状が出た場合と同様に、診察までの間に時間が空いてしまうと、交通事故と怪我の間の因果関係を否定されることがあります。そのため、痛みが出た時点でなるべく早く診断をしてもらいましょう。
後から診断書を作成してもらう場合の注意点
後から診断書を作成してもらう場合の注意点には次のものがあります。
診断書の作成に時間がかかる場合は警察に相談
診断書の作成に時間がかかる場合は警察に相談しましょう。
病院によっては診断書作成に時間がかかることがあります。物損事故から人身事故に切り替えるために診断書を提出する場合、2週間を超えると受け付けてもらえないことがあります。診断書作成をお願いする場合にどのくらいの時間が必要かを確認し、時間がかかる場合には警察に診断書作成までに時間がかかることを伝えましょう。
診断書を作成してもらえない場合
まれに診断書を作成してもらえないことがあります。
特に後遺障害等級認定のための後遺障害診断書について作成経験が少ないような場合に、診断書の作成を拒否されてしまうことがあります。医師法第16条第2項の規定にしたがって診断書を提出してもらうように交渉しても良いのですが、後遺障害等級認定のために有利となる診断書作成が期待できません。このような場合には早めに交通事故治療の実績が多い病院に転院することを検討しましょう。
まとめ
本記事では診断書は後から書いてもらえるのか、書いてもらえる場合の注意点などについて解説しました。
診断書は後から書いてもらうこともできるのですが、ケースによっては注意が必要です。特に後遺障害等級認定のための診断書の作成に問題が発生していると、認定される等級に影響するので、なるべく早めに弁護士に相談することをおすすめします。