タクシーに乗っている時に交通事故に遭ったら

タクシー乗車中に交通事故に遭った場合、事故の状況やタクシー会社が加入する保険によって、賠償金を請求する相手や交渉の難易度が異なります。
特に、タクシー会社が加入するタクシー共済が交渉相手となる場合、一般的な任意保険会社が相手となる場合よりも交渉が難しくなる傾向があります。
今回は、タクシー乗車中の事故でお困りの方に向けて、賠償金を請求する相手や事故発生から解決までの流れ、タクシー共済を相手に交渉する場合の注意点などを解説します。タクシーの事故で不安なく手続きを進めるために、ぜひ最後までご覧ください。
タクシー乗車中に事故に遭った場合、賠償金は誰に請求する?
タクシー乗車中の交通事故で賠償金を請求する相手は、事故の状況によって次の3つのケースに分類されます。
- 乗車中のタクシーが他の車両と接触事故を起こしたケース(双方に過失があるケース)
- 乗車中のタクシーが単独事故を起こしたケース
- 乗車中のタクシーがもらい事故に遭ったケース(相手車両にのみ過失があるケース)
それぞれのケースにおける賠償金の請求先について、詳しく解説します。
乗車中のタクシーが他の車両と接触事故を起こしたケース
乗車中のタクシーと相手車両の双方に過失が認められるケースでは、タクシーと相手車両の双方が加害者となります。この場合、被害者であるタクシーの乗客は、タクシーに対しても相手車両に対しても、全額の賠償金を請求できます。
たとえば、賠償金の総額が500万円の場合、被害者は、相手車両に500万円全額を請求することも可能です。ただし、このケースで相手車両から500万円を受け取ったときには、タクシー会社に賠償金を請求することはできません。
双方に過失が認められる場合の賠償金は、法律上「不真正連帯債務」となります。不真正連帯債務の債権者(交通事故の場合の被害者)は、債務者のどちらかに全額を請求することもできますし、責任の割合に応じて分けて請求することも可能です。被害者が一方から全額を受け取った場合、全額を支払った加害者はもう一方の加害者に対して責任の割合に応じた金額を請求できます。
いずれにしても、被害者はタクシー会社と相手車両のどちらか、請求しやすい方に賠償金を請求すれば問題ありません。
乗車中のタクシーが単独事故を起こしたケース
タクシーが単独事故を起こしたケースでは、タクシーが加害者となります。
タクシーが加害者となるケースでは、タクシー会社が加入するタクシー共済が交渉相手となることが多くなっています。タクシー共済とは、任意保険の代わりにタクシー会社が加入する共済協同組合です。
タクシー会社であっても、一般的な任意保険に加入している場合には、任意保険会社が交渉相手となります。
乗車中のタクシーがもらい事故に遭ったケース
タクシーが停車中に追突された場合など、タクシーに過失が認められないケースでは、相手車両のみが加害者となります。この場合、被害者である乗客とタクシーは、それぞれ相手車両が加入する任意保険を相手に賠償金を請求することになります。
任意保険を相手に賠償金を請求する場合については、通常の交通事故と同じ流れになるため、タクシー乗車中であることで特別に注意すべき点はありません。
タクシー共済を相手に交渉する場合の注意点
タクシー共済は、タクシー会社が設立した団体です。そのため、被害者の立場を考慮せずに、タクシー側の意見を強く主張してくるケースが多く見られます。
一般的な任意保険会社の場合、加害者側の保険会社であっても、ある程度は被害者の立場を考慮した客観的な視点で交渉を進めてくれます。しかし、タクシー共済の場合は、被害者の立場を考慮せずに交渉を進めることがあるため、安易に示談に応じるべきではありません。
タクシー共済を相手に交渉する場合の注意点は、次の2点です。
- 早期の示談を持ちかけられる場合がある
- 任意保険会社よりも低い金額の賠償金を提示される場合がある
それぞれの注意点について具体的に解説します。
早期の示談を持ちかけられる場合がある
タクシー共済が相手の場合、早い段階で治療費の支払いを打ち切り、示談を持ちかけられることがあります。
治療を継続する必要があるか否かを判断するのはタクシー共済ではありません。タクシー共済から治療費の早期打ち切りを告げられても、怪我の状態や医師の判断から治療の継続が必要と考えられる場合には、治療を継続すべきです。
タクシー共済の指示に従って治療を打ち切ると、完治までの期間が長引くだけでなく、適正な額の賠償金を受け取れない可能性があります。
任意保険会社よりも低い金額の賠償金を提示される場合がある
治療が終了してから1〜2か月ほど経過すると、タクシー共済から最終的な賠償金の金額が提示されます。タクシー共済が提示する賠償金の額は、同じ状況の事故で任意保険会社が提示する金額よりも低い額となることが少なくありません。
タクシー共済は、一般的な任意保険会社よりも被害者側の意見を聞き入れてくれない場合が多く、賠償金の提示額も低くなる傾向があります。
タクシー共済を相手に被害者本人が交渉を進めるのは困難なケースが多いでしょう。タクシー会社との交渉や賠償額に不安を感じる場合は、早めに弁護士へ相談することをおすすめします。弁護士に相談することで、タクシー共済が相手でも裁判基準をベースとした賠償額の交渉を進めることが可能です。