後遺障害等級第3級の主な症状と認定基準・慰謝料相場について

交通事故の被害に遭うと後遺症が発生することがあります。後遺症が発生した場合は、その重篤度に応じて後遺障害等級の認定を受け、認定された等級に基づいて後遺障害慰謝料や逸失利益を請求します。
本記事では、後遺障害等級第3級について、認定の対象となる主な症状と認定基準・慰謝料などについて解説します。
後遺障害等級第3級
後遺障害等級第3級については「自動車損害賠償保障法施行令 別表第2」で次のように定められています。
自動車損害賠償保障法施行令 別表第2
- 一眼が失明し、他眼の視力が〇・〇六以下になつたもの
- 咀嚼又は言語の機能を廃したもの
- 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの
- 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの
- 両手の手指の全部を失つたもの
一眼が失明し、他眼の視力が0.06以下になったもの
交通事故で目を怪我して「一眼が失明し、他眼の視力が0.06以下になったもの」に該当する場合には後遺障害等級第3級の認定がされます。
失明とは、次のような状態を指します。
- 眼球を摘出した状態
- 光の明暗が全く分からない状態
- 光の明暗が辛うじて分かる状態(暗室で眼前で照明の点滅がわかる状態)
視力は眼鏡やコンタクトレンズで矯正した後の視力で計測します。
目についての障害には他に次のような等級認定がされることがあります。
- 両眼が失明した:第1級
- 一眼が失明し、他眼の視力が0.02以下:第2級
- 両眼の視力が0.02以下:第2級
- 両眼の視力が0.06以下:第4級
- 一眼が失明し、他眼の視力が0.1以下:第5級
- 両眼の視力が0.1以下:第6級
- 一眼が失明し、他眼の視力が0.6以下:第7級
- 一眼が失明し、又は一眼の視力が0.02以下:第8級
- 両眼の視力が0.6以下:第9級
- 一眼の視力が0.06以下:第9級
- 両眼に半盲症、視野狭窄又は視野変状を残すもの:第9級
- 一眼の視力が0.1以下:第10級
- 正面を見た場合に複視の症状を残すもの:第10級
- 両眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの:第11級
- 両眼のまぶたに著しい運動障害を残す:第11級
- 一眼のまぶたに著しい欠損を残すもの:第11級
- 一眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残す:第12級
- 一眼のまぶたに著しい運動障害を残す:第12級
- 一眼の視力が0.6以下:第13級
- 正面以外を見た場合に複視の症状を残す:第13級
- 一眼に半盲症、視野狭窄又は視野変状を残す:第13級
- 両眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残す:第13級
- 一眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残す:第14級
咀嚼又は言語の機能を廃したもの
交通事故で口や顎を怪我して「咀嚼又は言語の機能を廃したもの」に該当する場合には後遺障害等級第3級の認定がされます。
咀嚼とは物を噛むことで、咀嚼の機能を廃したものとは流動食しか食べられなくなった状態をいいます。
言語の機能とは言葉を発する能力のことで、言語の機能を廃したものとは次の4つの種類の音のうち3つが発音できなくなったことをいいます。
- 口唇音(ま行・ぱ行・ば行・わ行、および「ふ」)
- 歯絶音(な行・た行・だ行・ら行・さ行・ざ行、および「しゅ」「し」「じゅ」)
- 口蓋音(か行・が行・や行、および「ひ」「にゅ」「ぎゅ」「ん」)
- 喉頭音(は行)
咀嚼および言語の機能の障害については、他にも次のような等級が認定されることがあります。
- 咀嚼及び言語の機能を廃したもの:第1級
- 咀嚼及び言語の機能に著しい障害を残す:第4級
- 咀嚼又は言語の機能に著しい障害を残す:第6級
- 咀嚼及び言語の機能に障害を残す:第9級
- 咀嚼又は言語の機能に障害を残す:第10級
神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの
交通事故で頭部や頸部などを怪我して「神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの」に該当する場合には後遺障害等級第3級の認定がされます。
高次脳機能障害・外傷性脳損傷・脊髄損傷などが原因で、労働をすることができない状態になっている場合がこれにあたります。
神経系統の機能又は精神の障害としては、他にも次のような等級に認定されることがあります。
- 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの:第1級
- 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの:第2級
- 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの:第5級
- 胸腹部臓器の機能に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの:第7級
- 神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの:第9級
- 局部に頑固な神経症状を残すもの:第12級
- 局部に神経症状を残すもの:第14級
胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの
交通事故で胸部や腹部を怪我して「胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの」に該当する場合には後遺障害等級第3級の認定がされます。
胸腹部臓器とは、呼吸器・循環器・腹部臓器・泌尿器・生殖器などがこれに該当しますが、第3級については一定の呼吸器障害がある場合で、常に介護を必要とする場合(第1級)随時介護を必要とする場合(第2級)まで重篤ではないが、終身労務に服することができない程度のものです。
胸腹部臓器の機能障害については、他にも次の等級が認定されることがあります。
- 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、常時介護を要するもの:第1級
- 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、随時介護を要するもの:第2級
- 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの:第5級
- 胸腹部臓器の機能に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの:第7級
- 胸腹部臓器の機能に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの:第9級
- 胸腹部臓器の機能に障害を残し、労務の遂行に相当な程度の支障があるもの:第11級
- 胸腹部臓器の機能に障害を残すもの:第13級
両手の手指の全部を失ったもの
交通事故で手を怪我して「両手の手指の全部を失ったもの」に該当する場合には後遺障害等級第3級の認定がされます。
「失ったもの」とは切断したことをいいます。
手指の怪我については次の等級に認定されることがあります。
- 両手の手指の全部の用を廃した:第4級
- 一手の五の手指又はおや指を含み四の手指を失つた:第6級
- 一手のおや指を含み三の手指を失った又はおや指以外の四の手指を失った:第7級
- 一手の五の手指又はおや指を含み四の手指の用を廃した:第7級
- 一手のおや指を含み二の手指を失った又はおや指以外の三の手指を失った:第8級
- 一手のおや指を含み三の手指の用を廃したはおや指以外の四の手指の用を廃した:第8級
- 一手のおや指又はおや指以外の二の手指を失った:第9級
- 一手のおや指を含み二の手指の用を廃した又はおや指以外の三の手指の用を廃した:第9級
- 一手のおや指又はおや指以外の二の手指の用を廃した:10級
- 一手のおや指以外の手指の指骨の一部を失った:14級
- 一手のおや指以外の手指の遠位指節間関節を屈伸することができなくなった:14級
複数の後遺症によって第3級と認定される場合もある:併合
上記の症状がなくても、複数の軽い後遺症が重なって3級と認定される「併合」という仕組みがあります。
複数の後遺症がある場合、それぞれの後遺症が第3級より軽い場合でも、併合により等級認定されることがあります。
次のようなケースで併合によって第3級と認定される可能性があります。
- 第4級の症状と第9級~第13級の症状がある場合→第4級が1つ上がり、第3級
- 第5級の症状と第7級もしくは第8級の症状がある場合→第5級が2つ上がり、第3級
具体的に該当しない場合でも第3級と認定される場合もある:相当
具体的に第3級の等級に規定されている場合ではなくても、症状から第3級に認定する「相当」という仕組みがあります。
後遺障害等級認定は、後遺障害等級表に規定されていなくても、第3級に相当するような症状がある場合には、第3級として取り扱う場合があります。これが「相当」です。
後遺障害等級第3級の後遺障害慰謝料
後遺障害等級第3級の後遺障害慰謝料は次の通りです。
基準 | 後遺障害慰謝料の額 |
自賠責基準 | 861万円(※2020年3月31日までは829万円) |
任意保険基準 | 1,000万円~1,100万円(※保険会社による) |
弁護士基準(裁判基準) | 1,990万円 |
保険会社が提示のために使う任意保険基準は、裁判所で認定される弁護士基準よりも1,000万円近く低い額で提示されることがあり、示談交渉の際にはきちんと弁護士基準に計算しなおさなければ、十分な補償を得られません。
後遺障害等級第3級の労働能力喪失率
後遺症が残ったときには後遺障害逸失利益の請求ができます。
後遺障害逸失利益の計算は次の計算式によって行われます。
基礎収入額×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対するライプニッツ係数 |
後遺障害等級第3級に認定された場合、労働能力喪失率は100%(100/100)として計算されます。
まとめ
本記事では、後遺障害等級第3級の主な症状と認定基準・慰謝料相場などについて解説しました。
後遺障害等級第3級は、第1級・第2級に次いで重篤な後遺症が残った場合に認定されるものです。労務に服することができなくなるレベルの後遺症なので後遺障害慰謝料・後遺障害逸失利益は適切に受け取りその後の生活に備えなければなりません。
そのため、後遺障害等級の適切な認定や、適正な基準で再計算した慰謝料の算定が欠かせません。さらに、過失割合などの交渉も慎重に行う必要があります。できるだけ早い段階で弁護士に相談し、適切なサポートを受けることをおすすめします。