後遺障害等級第4級の主な症状と認定基準・慰謝料相場について

交通事故で重篤な怪我を負い、その結果後遺症が残った場合、その後遺症について後遺障害等級認定を受けることになります。怪我の重篤度に応じて後遺障害等級が定められており、どの等級に該当するかが重要になります。
本記事では、後遺障害等級第4級について、認定の対象となる主な症状と認定基準・慰謝料などについて解説します。
後遺障害等級第4級
後遺障害等級第4級については「自動車損害賠償保障法施行令 別表第2」で次のように定められています。
自動車損害賠償保障法施行令 別表第2
- 両眼の視力が〇・〇六以下になつたもの
- 咀嚼及び言語の機能に著しい障害を残すもの
- 両耳の聴力を全く失つたもの
- 一上肢をひじ関節以上で失つたもの
- 一下肢をひざ関節以上で失つたもの
- 両手の手指の全部の用を廃したもの
- 両足をリスフラン関節以上で失つたもの
両眼の視力が0.06以下になったもの
交通事故で目を怪我して「両眼の視力が0.06以下になったもの」に該当する場合には後遺障害等級第4級の認定がされます。
ここでいう0.06という視力は、眼鏡やコンタクトレンズなどで矯正した後の視力を指します。
目についての障害には他に次のような等級認定がされることがあります。
- 両眼が失明した:第1級
- 一眼が失明し、他眼の視力が0.02以下:第2級
- 両眼の視力が0.02以下:第2級
- 一眼が失明し、他眼の視力が0.06以下:第3級
- 一眼が失明し、他眼の視力が0.1以下:第5級
- 両眼の視力が0.1以下:第6級
- 一眼が失明し、他眼の視力が0.6以下:第7級
- 一眼が失明し、又は一眼の視力が0.02以下:第8級
- 両眼の視力が0.6以下:第9級
- 一眼の視力が0.06以下:第9級
- 両眼に半盲症、視野狭窄又は視野変状を残すもの:第9級
- 一眼の視力が0.1以下:第10級
- 正面を見た場合に複視の症状を残すもの:第10級
- 両眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの:第11級
- 両眼のまぶたに著しい運動障害を残す:第11級
- 一眼のまぶたに著しい欠損を残すもの:第11級
- 一眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残す:第12級
- 一眼のまぶたに著しい運動障害を残す:第12級
- 一眼の視力が0.6以下:第13級
- 正面以外を見た場合に複視の症状を残す:第13級
- 一眼に半盲症、視野狭窄又は視野変状を残す:第13級
- 両眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残す:第13級
- 一眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残す:第14級
咀嚼及び言語の機能に著しい障害を残すもの
交通事故で口や顎を怪我して「咀嚼及び言語の機能に著しい障害を残すもの」に該当する場合には後遺障害等級第4級の認定がされます。
咀嚼とは、食べ物を噛むことをいい、「咀嚼機能に著しい障害を残す」とは、お粥やこれに準じるものしか食べられない状態のことです。流動食しか食べられなくなった「咀嚼機能を廃した」場合まで進むと第3級の認定がされます。
言語の機能に著しい障害を残すものとは、次のうち2音しか発音できない場合をいいます。
- 口唇音(ま行・ぱ行・ば行・わ行、および「ふ」)
- 歯絶音(な行・た行・だ行・ら行・さ行・ざ行、および「しゅ」「し」「じゅ」)
- 口蓋音(か行・が行・や行、および「ひ」「にゅ」「ぎゅ」「ん」)
- 喉頭音(は行)
また、発音できない音が1種類のみであっても、綴音(てつおん:語音をつなげること)が困難な場合は、言語の機能に著しい障害を残すものと認定されます。
咀嚼及び言語の機能の障害については他にも次のような等級認定がされることがあります。
- 咀嚼及び言語の機能を廃した:第1級
- 咀嚼又は言語の機能を廃した:第3級
- 咀嚼又は言語の機能に著しい障害を残す:第6級
- 咀嚼及び言語の機能に障害を残す:第9級
- 咀嚼又は言語の機能に障害を残す:第10級
両耳の聴力を全く失ったもの
耳の怪我によって「両耳の聴力を全く失ったもの」に該当する場合には後遺障害等級第4級の認定がされます。
「両耳の聴力を全く失ったもの」に該当するのは、純音聴力検査による平均純音聴力レベルが次に該当する場合をいいます。
- 両耳の平均純音聴力レベルが90dB以上
- 両耳の平均純音聴力レベルが80dB以上であり、かつ、最高明瞭度が30%以下
聴力の後遺症がこの状態に達していなくても、次の認定がされる場合があります。
- 耳に接しなければ大声を解することができない程度になった:第6級
- 一耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が40cm以上の距離では普通の話声を解することができない程度になった:第6級
- 両耳の聴力が40cm以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの:第7級
- 一耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が1m以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの:第7級
- 両耳の聴力が1m以上の距離では普通の話声を解することができない程度になった:第9級
- 一耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になり、他耳の聴力が1m以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度になった:第9級
- 一耳の聴力を全く失ったもの:第9級
- 両耳の聴力が1m以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度になった:第10級
- 一耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になった:第10級
- 両耳の聴力が1m以上の距離では小声を解することができない程度になった:第11級
- 一耳の聴力が40cm以上の距離では普通の話声を解することができない程度になった:第11級
- 一耳の聴力が1m以上の距離では小声を解することができない程度になった:第14級
一上肢をひじ関節以上で失ったもの
腕の怪我によって「一上肢をひじ関節以上で失ったもの」に該当する場合には後遺障害等級第4級の認定がされます。
「失ったもの」とは事故や手術によって切断した状態をいいます。
上肢の怪我としては他に次のような場合があります。
- 両上肢を手関節以上で失った:第2級
- 一上肢を手関節以上で失ったもの:第5級
- 一上肢の用を全廃した:第5級
- 一上肢の三大関節中の二関節の用を廃した:第6級
- 一上肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残す:第7級
- 一上肢の三大関節中の一関節の用を廃した:第8級
- 一上肢に偽関節を残す:第8級
- 一上肢の三大関節中の一関節の機能に著しい障害を残す:第10級
- 一上肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残す:第12級
一下肢をひざ関節以上で失ったもの
足の怪我によって「一下肢をひざ関節以上で失ったもの」に該当する場合には後遺障害等級第4級の認定がされます。
「失ったもの」とは、事故や手術によって切断した状態をいいます。
下肢の怪我として、他に次のようなケースが挙げられます。
- 両下肢をひざ関節以上で失った:第1級
- 両下肢を足関節以上で失った:第2級
- 一下肢を足関節以上で失ったもの:第5級
- 一下肢の用を全廃した:第5級
- 一下肢の三大関節中の二関節の用を廃した:第6級
- 一下肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残す:第7級
- 一下肢を5cm以上短縮した:第8級
- 一下肢の三大関節中の一関節の用を廃した:第8級
- 一下肢に偽関節を残した:第8級
- 一下肢を3cm以上短縮した:第10級
- 一下肢の三大関節中の一関節の機能に著しい障害を残す:第10級
- 一下肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残す:第12級
- 一下肢を1cm以上短縮した:第13級
両手の手指の全部の用を廃したもの
手の怪我によって「両手の手指の全部の用を廃したもの」に該当する場合には後遺障害等級第4級の認定がされます。
用を廃したとは神経が切断されたなどで動かなくなっている状態をいいます。
手指の怪我については次の等級に認定されることがあります。
- 一手の五の手指又はおや指を含み四の手指を失った:第6級
- 一手のおや指を含み三の手指を失った又はおや指以外の四の手指を失った:第7級
- 一手の五の手指又はおや指を含み四の手指の用を廃した:第7級
- 一手のおや指を含み二の手指を失った又はおや指以外の三の手指を失った:第8級
- 一手のおや指を含み三の手指の用を廃したはおや指以外の四の手指の用を廃した:第8級
- 一手のおや指又はおや指以外の二の手指を失った:第9級
- 一手のおや指を含み二の手指の用を廃した又はおや指以外の三の手指の用を廃した:第9級
- 一手のおや指又はおや指以外の二の手指の用を廃した:10級
- 一手のおや指以外の手指の指骨の一部を失った:14級
- 一手のおや指以外の手指の遠位指節間関節を屈伸することができなくなった:14級
両足をリスフラン関節以上で失ったもの
足の怪我によって「両足をリスフラン関節以上で失ったもの」に該当する場合には後遺障害等級第4級の認定がされます。
リスフラン関節とは、5本の中足骨(足の指の骨)と足の甲の骨の間にある関節のことで「失った」とは切断したことを意味します。
複数の後遺症によって第4級と認定される場合もある:併合
上記の症状がなくても、複数の軽い後遺症が重なって4級と認定される「併合」という仕組みがあります。
複数の後遺症がある場合、それぞれの後遺症が第4級より軽い場合でも、併合により等級認定されることがあります。
併合で第4級と認定されるパターンとしては次のケースがあります。
- 第5級の症状と第9級~13級の症状がある場合→第5級が1つ上がり、第4級
- 第6級の症状と第6級~8級の症状がある場合→第6級が2つ上がり、第4級
具体的に該当しない場合でも第4級と認定される場合もある:相当
具体的に第4級の等級に規定されている場合ではなくても、症状から第4級に認定する「相当」という仕組みがあります。
後遺障害等級認定は、後遺障害等級表に規定されていなくても、第4級に相当するような症状がある場合には、第4級として取り扱う場合があります。これが「相当」です。
後遺障害等級第4級の後遺障害慰謝料
後遺障害等級第4級の後遺障害慰謝料は次の通りです。
基準 | 後遺障害慰謝料の額 |
自賠責基準 | 737万円(※2020年3月31日までは712万円) |
任意保険基準 | 800万円~900万円程度(※保険会社による) |
弁護士基準(裁判基準) | 1,670万円 |
保険会社が提示のために使う任意保険基準は、裁判所で認定される弁護士基準の半分近くの低い額で提示されることがあり、示談交渉の際にはきちんと弁護士基準に計算しなおさなければ、十分な補償を得られません。
後遺障害等級第4級の労働能力喪失率
後遺症が残ったときには後遺障害逸失利益の請求ができます。
後遺障害逸失利益の計算は次の計算式によって行われます。
基礎収入額×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対するライプニッツ係数 |
後遺障害等級第4級に認定された場合、労働能力喪失率は、92/100で計算します。
まとめ
本記事では、後遺障害等級第4級の主な症状と認定基準・慰謝料相場などについて解説しました。
後遺障害等級第4級の労働喪失率は92/100とあり、非常に簡易な仕事しかできず、その後の人生に大きな影響を及ぼします。そのため、後遺障害慰謝料・後遺障害逸失利益は適切に受け取りその後の生活に備えなければなりません。
そのため、後遺障害等級の認定だけでなく、慰謝料も弁護士基準で再計算することが重要です。また、過失割合などの交渉も慎重に進める必要があります。適正な示談金を受け取るためにも、できるだけ早い段階で弁護士に相談することをおすすめします。