玉突き事故に巻き込まれたら?責任はだれにある?
玉突き事故は複数の車両が関与するため、責任の所在が複雑になりがちな交通事故です。玉突き事故に巻き込まれてしまった場合、誰が責任を負うのかを正しく理解していなければ、適切な賠償金を請求できなくなる可能性もあります。
本記事では、玉突き事故における責任の基本ルールや過失割合の判断基準について解説します。玉突き事故に巻き込まれてお困りの方は、ぜひ最後までご覧ください。
玉突き事故における責任の基本ルール
玉突き事故とは、後方車両に追突された車両(中間車両)が、追突の反動で前方車両に追突してしまう事故のことです。
玉突き事故では、3台以上の車両が関係するため、責任の所在が問題となります。ここでは、玉突き事故における責任の基本ルールを解説します。
最初に追突した後方車両の責任が重くなる
玉突き事故では、最初に追突した後方車両(最後尾の車両)が最も大きな責任を負うケースがほとんどです。
追突事故は、後方車両が十分な車間距離を保っていなかったり、脇見運転をしていたりしたことが主な原因となって起こります。玉突き事故も、最初の追突事故から発生するものなので、最初の追突事故の原因となった後方車両の責任が重くなるのが原則です。
後方車両が信号待ちの中間車両に追突した場合には、後方車両が100%の過失責任を負うこともあります。
中間車両にも責任が発生する場合
玉突き事故において、中間車両にも追突の原因があるのであれば、過失割合に応じた責任が発生します。
一般的な追突事故でも、前方車両が一部の過失責任を負うケースは少なくありません。たとえば、前方車両の急停車や操作ミスが事故の原因となった場合には、前方車両にも20%から30%ほどの過失割合が認定されます。玉突き事故における中間車両は、一般的な追突事故における前方車両と類似の立場にあるため、中間車両の急停車や操作ミスで事故が発生したときは、中間車両も過失責任を負います。
玉突き事故が発生するのは、最初に後方車両が中間車両に追突するケースだけではありません。最初に中間車両が前方車両に追突し、そこに後方車両が追突したようなケースでは、前方車両と中間車両との関係では中間車両が100%の過失責任を負い、中間車両と後方車両との関係では後方車両が100%の過失割合を負うといったケースもあります。
前方車両は過失責任を負わないケースが多い
中間車両に追突された前方車両は、一般的な追突事故の前方車両と同様に過失責任を負わないケースが多いでしょう。
しかし、前方車両が停車中にブレーキランプを点灯させていなかったり、急停車したりした場合など、事故発生の原因が前方車両にもあるケースでは、前方車両も一定の過失責任を負います。
たとえば、前方車両が急停車したことで中間車両も急停車し、その結果、後方車両が中間車両に追突したケースでは、前方車両が急停車したことの過失責任を問われる可能性があります。
玉突き事故における過失割合の判断基準
玉突き事故の過失割合は、最初に追突したのが後方車両なのか中間車両なのか、各車両がどのような動きをしていたかによって決まります。それを前提に、過失割合の判断基準を挙げるとすれば、次のようなものが挙げられるでしょう。
- 車間距離が適切なものであったか
- 急停止の有無
- 速度超過の有無
- 前方不注意の有無 など
玉突き事故では、後方車両が重い責任を負うことが前提となりますが、前方車両や中間車両にこれらの要素があった場合には、前方車両や中間車両にも過失割合が認定されます。
ここからは、玉突き事故の典型的なケースと、それぞれのケースにおける過失割合を簡潔に説明します。
停車していた中間車両に後方車両が追突し、中間車両が前方車両に追突した
このケースでは、後方車両に100%の過失が認められ、中間車両と前方車両は過失責任を負いません。
急停車した中間車両に後方車両が追突し、中間車両が停車していた前方車両に追突した
このケースでは、急停車で事故の原因を作った中間車両に30%の過失割合が認められます。停車していただけの前方車両に過失は認められないため、過失割合は、前方車両:0%、中間車両:30%、後方車両:70%となります。
前方車両が急停車し中間車両も停車したところ、後方車両が中間車両に追突し玉突き事故となった
このケースでは、急停車した前方車両に30%の過失割合が認められます。前方車両の急停車による事故を回避した中間車両には過失は認められません。そのため、過失割合は、前方車両:30%、中間車両:0%、後方車両:70%となります。
玉突き事故に巻き込まれてしまったら
玉突き事故では、責任の所在や過失割合をめぐって争いになるケースが少なくありません。争いになってしまった際に、適切な主張・立証をするには専門的な知識と経験が不可欠です。そのため、玉突き事故に巻き込まれてしまった場合には、問題を適切に解決するために弁護士に相談することをおすすめします。