交通事故で寝たきりになったら?適正な損害賠償金の相場は?

交通事故で寝たきりになったら?適正な損害賠償金の相場は?

交通事故で頭部や脊髄を損傷した結果、寝たきりとなってしまうことがあります。交通事故被害者は加害者に対して損害賠償を請求できますが、保険会社から提示される額が低くその後の不安が大きいことがよくあります。交通事故で寝たきりになってしまった場合、適正な損害賠償はどのくらいが相場なのでしょうか。

本記事では交通事故で寝たきりになってしまった場合の適正な損害賠償金の相場について解説します。

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目次

交通事故で寝たきりになる場合

交通事故で寝たきりとなる場合として次の場合が挙げられます。

交通事故で寝たきりになる場合
  • 頭部を損傷して高次脳機能障害・遷延性意識障害となる
  • 脊髄を損傷して四肢が麻痺する

自賠責保険において「神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの」として、後遺障害等級1級が認定されることになります。これらの状態は非常に重篤で、損害賠償の金額が高額となります。そのため、保険会社は様々な主張をすることで減額をしようと試みるので、損害賠償金の相場を知っておく必要があります。

交通事故で寝たきりになる場合の損害賠償金の相場

交通事故で寝たきりになる場合の損害賠償金の相場はいくらなのでしょうか。

損害賠償金は発生した損害を細かい内訳に分けて考える必要があります。

損害賠償金の内訳
  • 治療費・治療関係費:治療に必要な費用の実費
  • 付添看護費:ヘルパーを雇った場合の費用・近親者が看護をした場合には1日6,500円
  • 将来介護費:ヘルパーを雇う場合の実費、近親者は1日あたり8,000円
  • 入院に伴う雑費:入院中に使う生活雑貨のための費用(おむつ・ティッシュ・洗濯費用など)
  • 通院交通費:通院に必要な交通費
  • 装具・器具購入費:介護に必要な車椅子・電動ベッド・介護器具などの費用
  • 自宅・自動車改造費:介護のために自宅や自動車をリフォームするための費用
  • 慰謝料(入通院慰謝料・後遺障害慰謝料):精神的苦痛に対する慰謝料
  • 休業損害:仕事を休んだことに対する損害
  • 逸失利益:将来得られるはずであった利益

とくに慰謝料休業損害逸失利益については計算が複雑である上に争いになることが多いので、さらに詳しく見てみましょう。

慰謝料

慰謝料とは、交通事故などにより被害者が受けた精神的苦痛や身体的損傷、さらには生活の質の低下などの損害に対する補償として、加害者または保険会社から支払われる金銭のことを指します。

交通事故においては入院や通院を強いられたことに対する慰謝料と、後遺障害が残ってしまった場合の慰謝料に分けて考えることができます。慰謝料については自賠責保険から支払われる自賠責基準・保険会社が被害者への提示のために利用する保険会社基準・裁判をした場合に認定される裁判基準の3つがあります。

それぞれ次の額が相場となります。

自賠責基準保険会社基準裁判基準
入通院慰謝料4300円×通院日数×24300円×総治療日数のいずれか少ない方自賠責基準をわずかに上回る額公益財団法人日弁連交通事故相談センター東京支部発行「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準 上巻(基準編)」(赤い本)に基づく額
後遺障害慰謝料1,150万円自賠責基準をわずかに上回る額2,800万円

慰謝料に関して保険会社は賠償額を下げるために独自の主張をするので、裁判をすれば認定される慰謝料である裁判基準に計算しなおして交渉する必要があります。

休業損害

交通事故によって仕事を休まなければならなくなり、給与を得られなくなったことに対する補填をするのが休業損害です。次の金額が相場となります。

自賠責基準任意保険基準裁判基準
休業損害1日あたり6,100円保険会社ごとに異なる基準事故前3ヶ月の総支給額 ÷ 90日※給与所得者の場合

ここでも、保険会社から提示される額は裁判基準よりも低い可能性が高いので、計算しなおして交渉する必要があります。

逸失利益

後遺障害が残ったことで将来得られなくなった利益のことを逸失利益といいます。

逸失利益は次のように計算します。

基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数

※労働能力喪失率は寝たきりの場合100%

将来にわたって分割して得られる利益を一括で支払ってもらうものになるので、運用によって得られる中間利息などを考慮する必要があり、そのための計算として用いられるのがライプニッツ係数です。

参考:就労可能年数とライプニッツ係数表|国土交通省

被害者にも過失がある場合にはその分を差し引かれる

交通事故においては被害者にも過失が認められる場合があります。

たとえば信号無視をしてきた車と事故をした場合に、信号を守っていた車もスピード違反をしていたような場合です。交通事故は民法の不法行為損害賠償請求に基づいて行われるのですが(民法第709条以下)、被害者にも過失がある場合にはその分損害賠償から差し引かれる規定があります(民法第722条第2項:過失相殺)。

交通事故では必ず問題になるのですが、保険会社は事実関係とは異なる過失を主張したり、実務上の認定されない誤った過失割合を主張してくることがあるので、きちんとした精査が必要です

まとめ

本記事では交通事故で寝たきりになった場合の適正な損害賠償金について解説しました。

交通事故で寝たきりになった場合には、多額の損害賠償の請求をすることになり、それに対して保険会社は様々な主張をして賠償額を下げようとします。適正な損害賠償金を受け取るためにも、弁護士に相談し、きちんとした精査や交渉をしてもらいましょう。

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