自転車同士による交通事故の特徴や過失割合について
2000年以降、自転車関連事故の件数は減少していますが、全交通事故に対する自転車事故の割合は増加しています。
自転車の運転には免許取得の必要性がないため、交通ルールを学んだ大人だけではなく子供や学生も多く利用しています。そのため、自転車事故の加害者は16~18歳が最も多くなっています。
自転車側が加害者となる交通事故の場合、加害者が保険に加入していないことも多いため、保険会社が介入することなく当事者同士で話し合いをする必要があります。そのため、「過失割合はどれくらいなのか?」「損害賠償はいくらもらうか?」などで揉めることがあります。
この記事では自転車事故に遭った際に知っておきたい「自転車事故の特徴」や「過失割合の決まり方」などを紹介しています。
自転車同士による交通事故の特徴
加害者が保険に入っていないことが多い
自動車を運転するには自賠責保険の加入が義務付けられています。一方で自転車保険の加入が義務付けられている地域はありますが、加入義務のある地域でも自転車を運転する全ての人が加入しているとは限りません。
豊橋法律事務所のある愛知県では2021年10月1日から自転車保険への加入が義務化されましたが、2024年1月時点で加入率は70.7%となっています(au損害保険株式会社調べ)。
加害者が保険未加入で充分な収入や財産が無い場合は、被害者は充分な損害賠償を受けることが出来ない可能性があります。
後遺障害を認定する機関がない
自動車が絡む事故の場合、自賠責損害調査事務所によって後遺障害等級の認定を受けますが、自転車事故の場合後遺障害を認定する機関がありません。
そのため被害者側で「後遺障害等級第〇級に相当する症状があり後遺障害慰謝料及び逸失利益〇万円を請求する」と加害者側に主張する必要があります。相手方が示談交渉に応じてくれない場合は、裁判によって認めさせることになります。
後遺障害等級が何級になるのか?損害賠償がいくらになるのか?などを算定するには専門的な知識・経験が必要となります。交通事故の経験が豊富な弁護士に依頼してサポートを受けることをおすすめします。
過失割合の決まり方
自転車同士の事故の過失割合は、基本過失割合と修正要素によって算定されます。
基本過失割合は、過去の裁判例の動向や傾向を分析して、事故の状況によって基本となる過失割合を示したものとなります。修正要素は、属性や過失などに応じて基本過失割合から加算・減算する要素です。
基本過失割合
信号のある十字交差点
信号のある十字交差点で出会い頭の接触事故を起こした場合、信号の色によって基本過失割合が判断されます。
信号のない十字交差点
信号のない十字交差点で出合い頭の接触事故を起こした場合、一時停止規制の有無や道路幅、左方優先によって基本過失割合が判断されます。
左方優先とは、信号機がない十字交差点では左側からの車両が優先されることを指します。下図ではB自転車が優先車両となります。自動車だけではなく、自転車にもこの交通規則は適応されます。
信号のないT字路交差点
信号のないT字路交差点で出合い頭の接触事故を起こした場合、一時停止規制の有無や道路幅、直進優先などによって基本過失割合が判断されます。
修正要素
上記で紹介した事故状況別の基本過失割合に修正する形で過失割合を算定します。
- 児童(6歳以上13歳未満の子ども)
- 高齢者(65歳以上)
- 高速度進入
- 著しい高速度進入
- 著しい過失
- 重過失
著しい過失には次のようなものがあります。
- 片手運転
- 夜間無灯火
- 二人乗り
- 音楽を聴きながらの運転
- 酒気帯び運転
- 携帯電話の使用など
重過失には次のようなものがあります。
- 酒酔い運転
- ブレーキの整備不良など
さいごに
自転車同士の交通事故は保険に加入していない人が3割ほどいるので、後遺障害認定や示談交渉などを自ら行わなければならない可能性があり自動車事故よりも手間がかかることが多いです。
大きな怪我をした時や相手方との交渉が難航するようなら、弁護士に相談してサポートを受けることをおすすめします。