自転車と歩行者による交通事故の特徴や過失割合について
自転車と歩行者による交通事故では、生身の歩行者が大きな怪我を負うケースも多く、大きな社会問題となっています。自転車事故に対応すべく、自転車保険の加入義務化も進められていますが、まだまだ十分な状況ではありません。
自転車と歩行者との事故では、加害者にとっても被害者にとっても過酷な結果となるケースが多いと言えます。
この記事では、自転車と歩行者による交通事故に遭ってしまった際に知っておくべき「自転車と歩行者による交通事故の特徴」や「過失割合の決まり方」などを紹介しています。
自転車と歩行者による交通事故の特徴
基本的には自転車側に極めて大きな過失割合が認定される
自転車と歩行者との事故では、自転車側の過失割合が極めて大きくなるのが通常です。
歩道上の事故においては、基本の過失割合が自転車側が100、歩行者側が0となっています。信号機のない交差点の事故でも、自動車側の過失割合が80〜90程度で認定されることが多いでしょう。
自転車は、道路交通法では「車両」として規定されており、歩道は通行できません。自転車と歩行者とでは速度にも大きな差があり、自転車が生身の歩行者に衝突したときには大きな怪我につながる可能性も高いでしょう。
歩行者の急な飛び出しや、歩行者が園児や高齢者であるケースなど、歩行者に一定の過失割合が認定されるときでも、歩行者側の過失割合の方が大きくなることはほとんどあり得ません。自転車を運転する際は、歩行者との事故に十分な注意が必要です。
賠償金が高額になるケースも多い
自転車と歩行者との事故では、歩行者が大きな怪我を負うケースも少なくありません。
歩行者が死亡してしまったケースや、重篤な後遺障害が残ってしまったケースでは、賠償金も高額なものとなります。これまでの裁判例では、自転車と歩行者との事故で、数千万円から1億円を超える賠償金の支払いが命じられたものも少なくありません。
自転車には自賠責保険がなく、自転車保険への加入率も高くはありません。自転車保険に加入していないときには、多額の賠償金を支払いきれずに、被害者にとっても加害者にとっても酷な結果となることがあります。
自転車事故による賠償義務は、子どもが運転していた場合でも避けられません。子どもが大きな自転車事故を起こしたときには、保護者である親が多額の賠償金を負担することになります。
過失割合の決まり方
自転車と歩行者の事故の過失割合は、基本過失割合と修正要素によって算定されます。
基本過失割合は、過去の裁判例の動向や傾向を分析して、事故の状況によって基本となる過失割合を示したものとなります。修正要素は、属性や過失などに応じて基本過失割合から加算・減算する要素です。
基本過失割合
横断歩道のない十字交差点
横断歩道のない十字交差点で出合い頭の接触事故を起こした場合、一時停止規制の有無や道路幅、横断歩道の有無によって基本過失割合が判断されます。
信号のない横断歩道を歩行している時
信号のない横断歩道を歩行者が歩行している場合、歩行者は絶対的に近い保護を受けます。車両は歩行者を優先して通す必要があるため車両側が大きな過失を負います。
修正要素
上記で紹介した事故状況別の基本過失割合に修正する形で過失割合を算定します。
- 児童(6歳以上13歳未満の子ども)
- 高齢者(65歳以上)
- 高速度進入
- 著しい高速度進入
- 著しい過失
- 重過失
- 大型車
著しい過失には次のようなものがあります。
- 脇見運転
- 夜間無灯火
- 前方不注意
- 音楽を聴きながらの運転
- 酒気帯び運転
- 携帯電話の使用など
- 歩行者の集団横断
- 横断禁止の規制
- 歩道上の事故
重過失には次のようなものがあります。
- 酒酔い運転
- ブレーキの整備不良など
さいごに
自転車と歩行者の事故では、歩行者が大きな怪我を負うケースがあります。通勤などで自転車に頻繁に乗る方は自転車保険の加入などで事前に備えておくのも良い考え方だと思います。
歩行者は交通事故において最も保護される対象なので、過失割合の算定にも影響を受けます。この記事で紹介したものはあくまで一例でありそれぞれの事故状況によって過失割合も変化することを念頭に置いてください。
交通事故に遭い大きな怪我をした場合は、交通事故に強い当事務所にぜひご相談ください!