自動車とバイクによる交通事故の特徴や過失割合について
自動車とバイクによる交通事故では、無防備な状態であるバイク運転手が大けがをして賠償金額が大きくなるケースも少なくありません。
自動車とバイクとでは、自動車側の過失が大きく認定されやすいです。自動車を運転する場合、死角に入りやすく、スピードの予測もつきにくいバイクとの事故は十分に注意しなければなりません。
この記事では、自動車とバイクの交通事故に遭ってしまった際に知っておくべき「自動車とバイクの交通事故の特徴」や「過失割合の決まり方」などを紹介しています。
自動車とバイクによる交通事故の特徴
自動車の過失が大きくなりやすい
自動車とバイクの事故では、車体に身体を守られておらず、車体の重量も軽いバイク運転手の方が大きな損害を受ける可能性が高くなっています。そのため、自動車同士の事故と比較すると、自動車とバイクの事故ではバイクの過失割合が低く修正されます(単車修正)。
自動車側にとっては、過失割合が大きく認定されるため、その分だけ高額の損害賠償金を負担する可能性があるのです。バイクは、自動車側から認識しにくいケースもあるため、自動車側は、バイクの存在やスピードの変化に十分に注意すべきです。
もちろん、事故の態様によってはバイク側の方が大きな過失割合で認定されることもあるので、常にバイク側が被害者になる訳ではありません。死角からのすり抜けや追い越しは、自動車側が気付かずに大きな事故につながる危険性が高いので注意してください。
バイクが任意保険に加入していないケースも多い
バイクは、任意保険に加入していないケースが多く、事故の内容によっては自動車側が十分な賠償を受けられない可能性もあります。
損害保険料率算出機構の発行する自動車保険の概況(2023年度版)によると、自家用普通乗用車の対人賠償保険加入率は、82.6%でした。それに対し、二輪車の対人賠償保険加入率は、46.7%と、全体の半分にも満たない数値となっています。
参照:自動車保険の概況(2023年度版)114頁|損害保険料率算出機構
バイクも自賠責保険への加入義務はありますが、自賠責保険での補償には限度があります。また、自賠責保険は、車両修理費の賠償には対応できません。そのため、自動車を運転していてバイクを相手に事故を起こしてしまったときには、バイク側の過失が大きくても、慰謝料や車両修理費を支払ってもらえないケースもあります。
過失割合の決まり方
自動車とバイクの事故の過失割合は、基本過失割合と修正要素によって算定されます。
基本過失割合は、過去の裁判例の動向や傾向を分析して、事故の状況によって基本となる過失割合を示したものとなります。修正要素は、属性や過失などに応じて基本過失割合から加算・減算する要素です。
基本過失割合
信号のある十字交差点
信号のある十字交差点で出会い頭の接触事故を起こした場合、信号の色によって基本過失割合が判断されます。
信号のない十字交差点
信号のない十字交差点で出合い頭の接触事故を起こした場合、一時停止規制の有無や道路幅、左方優先によって基本過失割合が判断されます。
左方優先とは、信号機がない十字交差点では左側からの車両が優先されることを指します。下図では左側の車両が優先車両となります。
信号のないT字路交差点
信号のないT字路交差点で出合い頭の接触事故を起こした場合、一時停止規制の有無や道路幅、直進優先などによって基本過失割合が判断されます。
修正要素
上記で紹介した事故状況別の基本過失割合に修正する形で過失割合を算定します。
- 高速度進入
- 著しい高速度進入
- 著しい過失
- 重過失
- 大型車
著しい過失には次のようなものがあります。
- 脇見運転
- 夜間無灯火
- 前方不注意
- 音楽を聴きながらの運転
- 酒気帯び運転
- 携帯電話の使用など
- ヘルメット非着用
重過失には次のようなものがあります。
- 酒酔い運転
- ブレーキの整備不良など
さいごに
自動車とバイクの交通事故では、単車修正によりバイクの方が基本過失割合が小さくなることを紹介しました。バイクで交通事故に遭うと、身体が車体の外に露出していることによって大きな怪我を負う可能性が高くなります。
自動車とバイクの交通事故で大きな怪我を負った場合や、過失割合が上手くまとまらない場合には交通事故に強い当事務所にぜひご相談ください。