後遺障害等級第13級の主な症状と認定基準・慰謝料相場について

後遺症が残るような大きな交通事故に遭った場合、症状固定といわれる状態になった後に後遺障害等級認定を行うことになります。後遺障害等級が何級に認定されるかは後遺障害慰謝料や後遺障害逸失利益の計算に大きく関わります。

本記事では、後遺障害等級第13級について、認定の対象となる主な症状と認定基準・慰謝料などについて解説します。

後遺障害等級第13級

後遺障害等級第13級については「自動車損害賠償保障法施行令 別表第2」で次のように定められています。

1. 一眼の視力が〇・六以下になつたもの
2. 正面以外を見た場合に複視の症状を残すもの
3. 一眼に半盲症、視野狭窄又は視野変状を残すもの
4. 両眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの
5. 五歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
6. 一手のこf指の用を廃したもの
7. 一手のおや指の指骨の一部を失つたもの
8. 一下肢を一センチメートル以上短縮したもの
9. 一足の第三の足指以下の一又は二の足指を失つたもの
10. 一足の第二の足指の用を廃したもの、第二の足指を含み二の足指の用を廃したもの又は第三の足指以下の三の足指の用を廃したもの
11. 胸腹部臓器の機能に障害を残すもの

自動車損害賠償保障法施行令 別表第2

一眼の視力が0.6以下になったもの

怪我によって「一眼の視力が0.6以下になったもの」に該当する場合には後遺障害等級第13級の認定がされます。

目の怪我による後遺症についてはほかに次の等級に認定される可能性があります。

正面以外を見た場合に複視の症状を残すもの

怪我によって「正面以外を見た場合に複視の症状を残すもの」に該当する場合には後遺障害等級第13級の認定がされます。　

「正面以外を見た場合に複視を残すもの」とは、次のいずれかに該当するものをいいます。

一眼に半盲症、視野狭窄又は視野変状を残すもの

怪我によって「一眼に半盲症、視野狭窄又は視野変状を残すもの」に該当する場合には後遺障害等級第13級の認定がされます。

　「半盲症」、「視野狭窄」及び「視野変状」とは、Ｖ/4視標による8方向の視野の角度の合計が、正常視野の角度の60％以下になった場合のことをいいます。

両眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの

怪我によって「両眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの」に該当する場合には後遺障害等級第13級の認定がされます。

「まぶたの一部に欠損を残すもの」とは、閉瞼時に角膜を完全に覆うことができるが、白目が露出している程度のものをいいます。

「まつげはげを残すもの」とは、まつげ縁（まつげの生えている周縁）の1/2以上にわたってまつげのはげを残すものをいいます。

5歯以上に対し歯科補綴を加えたもの

怪我によって「5歯以上に対し歯科補綴を加えたもの」に該当する場合には後遺障害等級第13級の認定がされます。

「歯科補綴を加えたもの」とは、現実に喪失または著しく欠損した歯牙に対する補てつをいいます。

歯に関する障害については他に次のような場合があります。

一手の小指の用を廃したもの

怪我によって「一手の小指の用を廃したもの」に該当する場合には後遺障害等級第13級の認定がされます。

「手指の用を廃した」とは、手指の末節骨の半分以上を失い、又は中手指節関節若しくは近位指節間関節に著しい運動障害を残すものであり、具体的には次の状態をいいます。

手指に関する後遺障害として他には次のものがあります。

一手の親指の指骨の一部を失ったもの

怪我によって「一手の親指の指骨の一部を失ったもの」に該当する場合には後遺障害等級第13級の認定がされます。

「指骨の一部を失ったもの」とは、1指骨の一部を失っている（遊離骨片の状態を含む）ことがエックス線写真等により確認できるものをいいます。

一下肢を1cm以上短縮したもの

怪我によって「一下肢を1cm以上短縮したもの」に該当する場合には後遺障害等級第13級の認定がされます。

下肢の怪我による後遺障害についてはほかに次のものがあります。

一足の第三の足指以下の一又は二の足指を失ったもの

怪我によって「一足の第三の足指以下の一又は二の足指を失ったもの」に該当する場合には後遺障害等級第13級の認定がされます。

一足の第二の足指の用を廃したもの、第二の足指を含み二の足指の用を廃したもの又は第三の足指以下の三の足指の用を廃したもの

怪我によって「一足の第二の足指の用を廃したもの、第二の足指を含み二の足指の用を廃したもの又は第三の足指以下の三の足指の用を廃したもの」に該当する場合には後遺障害等級第13級の認定がされます。

「足指の用を廃した」とは、第1の足指は末節骨の半分以上、その他の足指は遠位指節間関節以上を失ったもの又は中足指節関節若しくは近位指節間関節（第1の足指にあっては指節間関節）に著しい運動障害を残す場合をいい、具体的には次の通りです。

胸腹部臓器の機能に障害を残すもの

怪我によって「胸腹部臓器の機能に障害を残すもの」に該当する場合には後遺障害等級第13級の認定がされます。

「胸腹部臓器の機能に障害を残すもの」として第13級に認定される場合には、次のようなものが挙げられます。

併合で13級となるケースはない

複数の軽い後遺症が重なって上位の等級と認定される「併合」という仕組みがあります。

もっとも、14級は併合の対象になっていないため、併合によって13級となるケースはありません。

具体的に該当しない場合でも第13級と認定される場合もある：相当

具体的に第13級の等級に規定されている場合ではなくても、症状から第13級に認定する「相当」という仕組みがあります。

後遺障害等級認定は、後遺障害等級表に規定されていなくても、第13級に相当するような症状がある場合には、第13級として取り扱う場合があります。これが「相当」です。

後遺障害等級第13級の後遺障害慰謝料

後遺障害等級第13級の後遺障害慰謝料は次の通りです。

基準	後遺障害慰謝料の額
自賠責基準	57万円
任意保険基準	65万円～80万円程度（※保険会社による）
弁護士基準（裁判基準）	180万円

保険会社が提示のために使う任意保険基準は、裁判所で認定される弁護士基準の半分以下の低い額で提示されることがあります。そのため示談交渉の際には、弁護士基準に基づいた適正な金額を算出し、交渉することが重要です。

後遺障害等級第13級の労働能力喪失率

後遺症が残ったときには後遺障害逸失利益の請求ができます。

後遺障害逸失利益の計算は次の計算式によって行われます。

基礎収入額×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対するライプニッツ係数

後遺障害等級第13級に認定された場合、労働能力喪失率は、9/100で計算します。

まとめ

本記事では、後遺障害等級第13級の主な症状や認定基準について解説しました。

後遺障害等級認定は、後遺障害慰謝料や逸失利益の計算に大きな影響を及ぼすため、非常に重要です。治療中から弁護士に依頼して、適切な後遺障害等級の認定をしてもらえるようにサポートを受けることをおすすめします。