腰椎捻挫|後遺障害認定のポイントは?

腰椎捻挫|後遺障害認定のポイントは?

交通事故で腰椎捻挫の傷害を負い、症状固定時に後遺症が残った場合、その症状の内容や程度が、自動車損害賠償法施行令が規定する後遺障害等級表(別表第2)のどの等級に該当するかによって、被害者が得られる損害賠償金が大きく違ってきます。

被害者にとっては、適切な後遺障害等級認定を受けられるかどうかが重要になります。そのためには、交通事故に強い弁護士に依頼すべきだといわれています。

では、腰椎捻挫の後遺症が残った場合、後遺障害認定のポイントは何なのでしょうか。以下においては、腰椎捻挫についての基本的な説明および後遺障害認定のポイントなどについて解説します。

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目次

腰椎捻挫とは

腰椎捻挫とは、腰の骨である腰椎が外部からの強い衝撃により、骨の周囲にある筋肉や靭帯、軟骨が損傷を受けた状態のことをいいます。

腰椎捻挫の症状

腰椎捻挫の症状

腰の痛み、下肢の痛みやしびれが腰椎捻挫の症状になります。

腰の痛みは、腰痛と呼ばれ、椎間板・椎間関節・筋膜などの炎症により生じ、また、下肢の痛みやしびれは、坐骨神経痛と呼ばれ、腰のまわりの靱帯が伸びてしまったり、軟骨が圧迫されたりして生じます。

腰椎捻挫の原因

交通事故により、腰部に衝撃が加わることで腰椎捻挫になってしまうことがあります。

腰椎捻挫の後遺障害

腰椎捻挫の後遺障害としては、神経障害が考えられます。

神経障害

神経障害とは、腰椎捻挫により、痛みやしびれが残ってしまう障害のことをいいます。

神経障害の後遺障害等級

神経障害の後遺障害等級
  1. 12級13号(局部に頑固な神経症状を残すもの)
  2. 14級9号(局部に神経症状を残すもの)

以下では、12級13号および14級9号に共通の概念を確認したうえ、12級13号および14級9号それぞれについて見ていきましょう。

共通の概念

共通の概念
  1. 局部とは、腰部を指します。
  2. 神経症状とは、腰椎捻挫に由来する、神経の圧迫によって生じる痛みやしびれの症状を指します。
  3. 自覚症状は、痛みやしびれになります。腰痛にとどまらず、お尻の痛み、下肢の痛みやしびれなども含まれます。

12級13号の内容

「局部に頑固な神経症状を残すもの」とは、自覚症状が、他覚的所見によって、医学的に証明できた場合をいいます。

用語の説明(クリックで開閉)
  1. 他覚的所見とは、X線検査、CT検査、MRI検査などの画像所見、SLRテスト、FNSテスト、ブラガードテスト、深部腱反射テスト、徒手筋力テスト(MMT)、筋萎縮検査などの神経学的検査を経たうえでの神経学的所見のことをいいます。
  2. 「医学的に証明できた」とは、自覚症状が、他覚的所見によって、客観的に異常所見と確認されたことをいいます。具体的には、腰のX線検査、CT:検査やMRI検査で神経の圧迫の異常所見が認められ、また、その圧迫されている神経と筋力低下、筋肉の萎縮(やせて細くなること)、深腱部反射の異常、SLRテストなどが陽性、しびれ(知覚障害の範囲)などの実際の症状が一致している場合が、これに該当します。
  3. SLRテストとは、患者に仰向けで横になってもらい、膝を伸ばした状態で下肢を持ち上げる検査のことです。腰椎から足先に向かって走行している坐骨神経の障害を調べる神経学的テストです。下肢伸展挙上テストやラセーグテストとも呼ばれます。
  4. FNSテストとは、患者にうつ伏せになってもらい、膝を曲げていく検査のことです。太ももの前面を走行するL3、L4神経根由来の大腿神経の障害を調べる神経学的テストです。大腿神経伸展テストとも呼ばれます。
  5. ブラガードテストとは、SLRテストで疼痛を誘発する角度よりも少し下げた高さ(5度程度)で足関節を背屈(伸展)させることにより疼痛を誘発させる検査のことです。これにより、SLRテストで陽性であるが疑問が残るものについて診断を確定させるために有効とされています。 
  6. 深部腱反射テストとは、ハンマーで患者の腱を叩く検査のことです。
  7. 徒手筋力テスト(MMT)とは、筋肉の筋力がどの程度低下しているかを0から5までの6段階で評価する検査のことです。
  8. 筋萎縮検査とは、膝関節を起点に上下10cmのところのふとももとふくらはぎの周径を計測し、以前よりも筋肉が細くなっていないかを確認するための検査のことです。

自覚症状(痛みやしびれ)が、画像所見や神経学的所見によって、客観的に異常と確認されれば、自覚症状が、他覚的所見によって、医学的に証明できたといえることになります。

14級9号の内容

「局部に神経症状を残すもの」とは、自覚症状が、医学的に説明できた場合をいいます。

用語の説明(クリックで開閉)
  1. 「医学的に説明できた」とは、自覚症状が、他覚的所見は認められないものの、医師による理学的所見や神経学的所見と一致していることをいいます。
  2. 神経学的所見については、上記「12級13号の内容」の1のとおりです。
  3. 理学的所見とは、指診、触診、打診、聴診(これらが理学的検査)など、他の検査で得られない、医師が自分の五感から得る情報を通して患者の状態を判断していく所見をいいます。
  4. 神経学的検査の内容は、上記「12級13号の内容」の3~8のとおりです。

自覚症状(痛みやしびれ)が、画像所見は認められないものの、医師による理学的所見や神経学的所見と一致していれば、自覚症状が、医学的に説明できたといえることになります。

補足しますと、神経学的検査では、患者の意思と無関係に結果が得られる深部腱反射テストおよび筋萎縮検査の検査結果が重視されます。この場合、膝蓋腱・アキレス腱の深部腱反射テストで「低下ないし消失」の所見が得られていること、大腿・下腿の筋萎縮検査で筋肉の萎縮が確認されていることが必要になります。

後遺障害認定のポイント

腰椎捻挫の後遺障害認定のポイントは、どのようなものなのか、以下で見てみましょう。

後遺障害認定のポイント
  • 診断書・カルテの記載
  • 適切な検査
  • 後遺障害診断書の重要性
  • 因果関係

診断書・カルテの記載

症状が目に見えにくいため、初診の際はもちろん、治療が継続している限り、受診の都度医師に自覚症状を訴えて、診断書やカルテに記載してもらうこと、症状固定(治療を続けても、それ以上の症状の改善が望めない)時まで継続的に治療を受け、自覚症状が一貫して継続していたことが分かるように、カルテや後遺障害診断書に記載してもらうことが重要になります。 

適切な検査

自覚症状および医師の診断に合わせ、上述したように、画像検査、理学的検査や神経学的検査を適切に受ける必要があります。画像検査では、MRI検査が必須の検査になります。

MRI検査の画像所見がなければ、現実問題として、12級13号の認定が難しくなります。

また、神経学的所見は、上述したように、後遺障害の等級認定を受けるうえで、重要な判断要素になります。医師は、必要な検査を行い、後遺障害診断書に画像所見、理学的所見および神経学的所見を記載することになります。

後遺障害診断書の重要性

後遺障害診断書には、特に、自覚症状、画像所見、理学的所見や神経学的所見(必要な検査データの表記も含みます)、他覚的所見の内容が正確に記載されている必要があります。後遺障害等級認定は、基本的に「書面主義」のため、症状固定時の状態が記載された後遺障害診断書が最も重視されるからです。

医師は、診断や治療の専門家であって、後遺障害等級認定を行う専門家ではありませんので、医師作成の後遺障害診断書については、弁護士に相談してアドバイスを受けるか、その内容をチェックしてもらうようにしましょう。

因果関係

後遺障害の等級認定がされるためには、交通事故と腰椎捻挫との間に因果関係が認められる必要があります。

まとめ

交通事故により腰椎捻挫の傷害を負った場合、その後遺障害としては、上述したように、神経障害が考えられ、12級13号および14級9号の等級認定の可能性があります。

過不足のない後遺障害診断書を作成してもらうためには、弁護士のサポートが欠かせません。

交通事故に遭って腰椎捻挫の後遺症が残り、適切な後遺障害等級認定を受けられるか不安を抱いている方は、是非、交通事故に強い当事務所にご相談ください。

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