保険会社から「治療費打ち切り」の催促が来たらどうすれば良い?

保険会社から「治療費打ち切り」の催促が来たらどうすれば良い?

保険会社から「治療期間が長いので治療費を打ち切ります」と連絡を受けました。まだ症状は完治しておらず通院を続けたいのですが、どのように対応すればよいですか?これ以上治療費はもらえないのでしょうか?

鈴木 誠人

治療がまだ必要であればその旨を保険会社に伝えて交渉してください。保険会社への交渉材料として1.主治医の意見(治療がまだ必要で症状が改善傾向にあるという意見)、2.治療終了見込みを伝える、等があります。

それでも「治療費を打ち切る」と言われた場合は、弁護士に相談することをおすすめします。

目次

治療費の打ち切りとは

治療費の打ち切りとは、加害者側の保険会社が被害者の治療費の立て替え払いを停止することです。治療費打ち切り後治療を継続する場合は、自費で治療を続けなければなりません。

人身事故の被害に遭うと治療のために病院へ通うことになります。この時、加害者側の自賠責保険会社と任意保険会社が別々に治療費を払わずにまとめて治療費を病院へ直接支払いをします。このことを任意一括対応と呼びます。

任意一括対応

受傷部位や症状にもよりますが治療期間が長引くと平均的な治療期間を目安に、保険会社から治療費の打ち切りを催促されます。平均的な治療期間は以下の通りです。

受傷部位・症状期間目安
打撲1カ月程度
むちうち3~13カ月程度
骨折6~16カ月程度
高次機能障害6~16カ月程度

保険会社が治療費打ち切りをする理由

保険会社はあくまで営利企業です。営利企業である以上、できるだけ治療費支払いを下げて利益を最大にするように働きかけます。また、保険金詐欺を防ぐという目的もあります。

保険会社はできるだけ早く示談することを望んでいます。

交通事故発生から解決までの流れ

保険会社は保険会社の都合で治療費打ち切りを催促しているので、被害者は継続して治療が必要なら治療費打ち切りを阻止するために交渉する必要があります。

治療費打ち切りに対する交渉材料

主治医の意見

治療の継続が必要かどうかは、保険会社が決めることではなく医師が決めることです。

主治医に相談して医学的見地から治療の継続が必要であるという診断書を書いてもらい提出するか、主治医に話を通した上で保険会社に医療照会(病院などの医療機関に対し、患者の病状や治療経過、検査結果などの資料や回答を求めること)をお願いしてください。

治療終了見込みを伝える

保険会社としても「いつまで治療が続くかわからない」状態よりも、治療終了の見込みがある方が交渉に応じやすくなります。症状が改善に向かっていて治療終了見込みが予測できるのであれば、その期日を保険会社に伝えてください。

主治医の意見と治療終了見込みを伝えても、治療費打ち切りとなってしまった場合は、弁護士に相談することをおすすめします。

治療費打ち切り後の対応

治療費打ち切りとなっても治療が必要であれば治療を続けてください。この場合は自費で治療費を支払う必要がありますが、症状固定前の治療費は後に請求することができます。

健康保険を利用

自費で治療を継続する場合には健康保険を利用して治療を続けましょう。

治療費打ち切りまでは保険会社が立て替え払いをしていましたが、以降は治療の都度支払いをする必要があります。後に保険会社に治療費を請求するために診断書や領収書は必ず保管しておいてください。

自由診療(保険適用なしの診療)の場合、治療費が高額になる可能性があるので注意して下さい。

人身傷害保険特約を利用

人身傷害保険特約とは、運転者や同乗者が事故により死傷された場合に補償される特約です。

被害者自身が加入する保険契約に「人身傷害保険特約」が付いている場合は、利用を検討してください。利用できるかどうかは加入する保険会社に問い合わせてください。

自賠責保険の「仮渡金」制度を利用

「仮渡金」制度とは、事故によって死亡やけがをしてしまった被害者が喫緊に必要とする出費に対して速やかに保険金を支払う制度です。

「仮渡金」制度は示談交渉の成立前に示談金の一部を受け取る制度です。自費で治療を続けたいと思っても手持ちの資金がない場合は、自賠責保険の「仮渡金」制度を検討してください。

「仮渡金」制度は事故の相手から示談金を受け取っていた場合、利用できないので注意して下さい。

まとめ

保険会社から治療費の打ち切りを催促された場合、まずは治療の継続が必要であることを伝えるために主治医の意見や治療終了見込みを交渉材料に交渉してください。

もし保険会社がそれでも治療費の支払いを打ち切ると決定した場合は、法律的なアドバイスを得るために弁護士に相談することをおすすめします。

治療費が打ち切られた後でも、必要であれば治療を継続し、その治療費は自費で支払う必要がありますが、健康保険の利用や人身傷害保険特約、自賠責保険の仮渡金制度などを活用して負担を軽減することができます。

最後に、治療費を自己負担で支払う場合には、後で保険会社に請求するために、診断書や領収書を含む全ての書類を保管しておくことを覚えておいてください。

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