高齢者が交通事故被害に遭った場合の慰謝料について

高齢者が交通事故被害に遭った場合の慰謝料について

高齢者が交通事故被害に遭ってしまうと、重大な怪我につながりやすく、場合によっては死亡に至ることもあります。一方、高齢者については、収入状況や余命などとの関係で、働き盛りの世代が事故に遭った場合より、賠償金の総額が低くなるケースも少なくありません。

高齢者の交通事故で適切な賠償金を受け取るには、高齢者における後遺障害慰謝料や死亡慰謝料の相場を理解しておくことが重要です。

本記事では、高齢者の交通事故の特徴に触れたうえで、後遺障害慰謝料と死亡慰謝料の相場について詳しく解説します。

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目次

高齢者が被害者となってしまった交通事故の特徴

高齢化が進む中で、高齢者が被害者となる交通事故の割合は大きなものとなっています。

警察庁が公表する「令和5年における交通事故の発生状況について」によると、令和5年に歩行中の交通事故で亡くなった人の数は973名で、そのうち65歳以上の高齢者の割合は全体の7割以上に相当する687名でした。自転車の運転中に死亡したケースについても、高齢者が全体の6割以上を占めています。

参照:令和5年における交通事故の発生状況について|警察庁交通局

高齢者の交通事故については、身体能力や視力、聴力などの低下により交通事故の被害に遭いやすく、重症化しやすいという特徴があります。交通社会で生活する以上、高齢者が事故に遭わないよう十分に注意するのは当然のこと、事故が発生してしまったときには適切な対応と賠償が求められるでしょう。

高齢者の後遺障害慰謝料・逸失利益の相場

高齢者が交通事故で入通院した場合、入通院慰謝料の相場は若年層と大きく変わることはありません。しかし、後遺障害が残ってしまった場合の後遺障害慰謝料と逸失利益については、高齢者としての特徴に注意が必要です。

後遺障害慰謝料

後遺障害慰謝料は、交通事故で後遺症が残ったことの精神的苦痛を補償するものです。自賠責基準と弁護士基準での等級ごとの後遺障害慰謝料は、次のようになっています。

等級自賠責基準弁護士基準
1級1,1502,800
2級9982,370
3級8611,990
4級7371,670
5級6181,400
6級5121,180
7級4191,000
8級331830
9級249690
10級190550
11級136420
12級94290
13級57180
14級32110

後遺障害慰謝料は等級によって決められており、その際に被害者の年齢は考慮されません。そのため、等級が同じであれば、高齢者であってもそれ以外の世代であっても慰謝料の金額は変わりません

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逸失利益

逸失利益は、後遺障害により将来的に得られなくなった収入に対する補償です。高齢者の場合、収入の内訳や平均余命の関係で若年層よりは逸失利益の額が大きく減ってしまいます。

高齢者の逸失利益の計算については、次の点に注意が必要です。

高齢者の逸失利益に関する注意点
  • 労働能力喪失期間が短い
  • 年金収入のみでは逸失利益はほとんど認められない

逸失利益は、労働能力喪失期間を基準に計算されます。労働能力喪失期間とは、後遺障害によって労働能力が失われる期間のことです。

労働能力喪失期間は、原則として症状固定から67歳までの年数平均余命の2分の1の年数どちらか長い方となります。たとえば、令和5年の簡易生命表によると、75歳男性の平均余命は12.13年であり、労働能力期間は2分の1の6年となります。

一方、40歳の人の労働能力喪失期間は、67歳までの27年です。高齢者とそれ以外の世代とでは、労働能力喪失期間に大きな差があるため、逸失利益の金額もその分だけ少なくなります。

また、逸失利益の計算では、収入のすべてが逸失利益となるわけではなく、生活費に充てられる分は控除されます(生活費控除率)。年金収入の場合、ほとんどが生活費に充てられるため、逸失利益として認定される金額はほんのわずかです。

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高齢者の死亡慰謝料と逸失利益の相場

高齢者が交通事故で死亡した場合、死亡慰謝料と死亡逸失利益を請求できますが、請求できる金額は若い世代と比べると低い金額となります

ここでは、高齢者の死亡慰謝料と死亡逸失利益の相場を解説します。なお、葬儀費用については、年齢を問わず150万円程度が相場です。

死亡慰謝料

弁護士基準での死亡慰謝料の相場は、次のとおりです。

被害者の属性死亡慰謝料の金額
一家の支柱2800万円
母親・配偶者2500万円
高齢者・子どもなど2000万円から2500万円

高齢者の場合でも、一家の支柱として働いていたときには、働き盛りの世代と変わらない死亡慰謝料を請求できます。一方で、年金暮らしの高齢者や子どもの被扶養者となっている高齢者などの死亡慰謝料は、2000万円から2500万円程度となります。

逸失利益

死亡逸失利益の計算方法は、後遺障害の逸失利益の計算方法と重なる部分が多くあります。そのため、高齢者の死亡逸失利益は、高齢者の後遺障害の逸失利益と同様に、若年層と比較して少ない金額となります

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