専業主婦(家事従事者)が交通事故に遭った場合の休業損害について

専業主婦(家事従事者)が交通事故に遭った場合の休業損害について

専業主婦の方が交通事故に遭った場合、休業損害を請求することはできるのでしょうか。「主婦は給料をもらっているわけではないので、休業損害は請求できない」とお考えの方もいらっしゃるでしょう。

しかし、専業主婦の方でも休業損害は請求できます専業主婦の休業損害については、保険会社から提示がなかったり、適正な金額よりも低い金額が提示されたりする可能性が高いため、注意が必要です。

この記事では、専業主婦の休業損害について、休業損害が認められる根拠、休業損害の基礎収入日額や休業日数の計算方法などについて解説します。

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そもそも休業損害とは?

休業損害とは、交通事故による受傷が原因で休業し、得られるはずの収入が得られなかったことによる損害のことです。

たとえば、会社員の方が交通事故の治療で1か月休業した場合、1か月分の給与を休業損害として加害者に請求できます。

休業損害を請求できる期間は、交通事故で受傷してから症状固定するまでの間に、実際に休業した期間分です。症状固定までに3か月かかった場合でも、2か月で仕事復帰したときには、休業損害は2か月分のみ認められます。

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収入のない専業主婦でも休業損害を請求できる?

休業損害は、収入のない専業主婦でも請求できます。

休業損害が収入の減少を補填するものであることを考えると、収入のない専業主婦には休業損害が認められないと考える方もいるかもしれません。

ですが、判例は、主婦の家事労働を「社会において金銭的に評価され得るもの」と判断しており、専業主婦が家事労働に従事できなかったことによる損害を休業損害として認めています。

家事労働は、家族の生活を支えるのに不可欠なものです。専業主婦は、直接的な収入を得ていなくても、家事労働によって家族の生活基盤を支えており、休業損害が認められるのも当然と言えます。

なお、男性が家事を担当する専業主夫のケースでも、女性の場合と同様に休業損害を請求できます。

主婦の休業損害の計算方法

一般的に休業損害は、次の計算式で算出されます。

1日あたりの基礎収入額×休業日数

ここからは、専業主婦の基礎収入額と休業日数について詳しく解説します。

専業主婦の基礎収入額

専業主婦の基礎収入額は、原則として賃金センサスの女性労働者の全年齢平均賃金額とされており、その金額を365日で割ったものが1日あたりの基礎収入額となります。

令和5年の賃金センサスでは、女性労働者の全年齢平均賃金額は399万6500円でした。

参照:賃金構造基本統計調査|政府統計の総合窓口

令和5年の賃金センサスを基準にすると、1日あたりの基礎収入額は約1万949円(399万6500円÷365日)となります。

ただし、実際に専業主婦の方が交通事故に遭った場合、保険会社から提示される賠償金の額は、同金額を下回っている可能性が高いでしょう。

交通事故の損害賠償には、次の3つの算定基準があります。

3つの算定基準
  • 自賠責基準
  • 任意保険基準
  • 裁判基準(弁護士基準)

賃金センサスの女性労働者の全年齢平均賃金額を基準とするのは、このうちの裁判基準です。

自賠責基準では、専業主婦の基礎収入日額が6100円とされています。任意保険基準については、明確な基準は公開されていませんが、自賠責基準と裁判基準の間の金額になるケースが多いでしょう。

裁判基準(弁護士基準)は、弁護士が交渉した場合に適用される基準です。保険会社から提示された金額が裁判基準を下回る場合には、弁護士に相談することで提示額を増額できる可能性がありますので、ぜひ弁護士までご相談ください。

専業主婦の休業日数

休業日数は、交通事故で受傷してから症状固定するまでの間に、実際に家事労働を休んだ日数で計算します。

たとえば、症状固定まで6か月かかる怪我を負った場合でも、事故の1か月後から無理をして家事に復帰していたのなら、休業損害を請求できる日数は1か月分だけです。

また、実際に家事労働を休んでいたとしても、怪我の症状や受傷部位、治療の経過などから家事労働が可能であったと判断される場合、休業損害は請求できません

実際のケースでは、家事労働に復帰した初日から100%の状態で家事に取り組めるケースは少ないでしょう。怪我の回復に併せて少しずつ家事労働に復帰した場合には、割合に応じて休業損害を計算することもあります。

たとえば、事故から1か月後には50%の状態で家事労働に復帰することができ、2か月後には80%、3か月後には完全復帰したという場合、休業損害の額は、次のようになります。

少しずつ家事労働に復帰した場合の計算の例
  • 最初の1か月 基礎収入日額を基準に計算
  • 2か月目   基礎収入日額の50%を基準に計算
  • 3か月目   基礎収入日額の20%を基準に計算
  • 4ヶ月目以降 休業損害は発生しない

交通事故からどのくらいで家事労働に復帰できる状態になったのか、どのくらいの割合で復帰できたのかについては、医師の診断書や具体的な家事労働の内容などから判断することになります。

休業損害の日数について保険会社の提示に不満のある場合には、弁護士までご相談ください。

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