勤務中の交通事故で労災保険を使うメリット・デメリット

勤務中の交通事故で労災保険を使うメリット・デメリット

勤務中の交通事故で負傷したときには、労災の対象となるため労災保険を使うことができます。交通事故の治療については、加害者の加入する任意保険や自賠責保険が利用されることも多いでしょう。

労災保険は任意保険や自賠責保険とどのような違いがあるのでしょうか。労災保険を利用するメリット・デメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。

この記事では、労災保険の仕組みについて簡単に触れたうえで、労災保険を使用するメリット・デメリットを解説します。交通事故の治療で労災保険を使うべきか迷っている方は、ぜひ参考にしてください。

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目次

労災保険とは

労災保険は、業務や通勤を理由とする労働者の負傷や死亡などに対して給付される保険です。

事業者が労働者を雇う際には、労災保険への加入が義務付けられています。そのため、勤務中の交通事故で負傷した労働者は、労災保険を利用して通院や入院での治療を受けられます。

交通事故の被害者となったケースでは、加害者が加入する任意保険や自賠責保険からの賠償を受けることも可能です。治療費や休業補償など、どちらの保険からも受け取れる賠償金については、二重取りはできず、どちらか一方からのみ受け取ることができます。

交通事故の治療で労災保険を利用するメリット

勤務中の交通事故の治療で労災保険を利用するメリットとしては、次の4つが挙げられます。

メリット
  • 労災保険には治療費の限度額がない
  • 労災保険には過失相殺がない
  • 被害者が不明・無保険でも利用できる
  • 特別支給金が支払われる

それぞれの内容について詳しく解説します。

労災保険には治療費の限度額がない

労災保険には、治療費の限度額が設定されていません。そのため、治療が長期間になったとしても、治療の必要がある限り治療を続けられます。

一方、自賠責保険の限度額は120万円です。また、加害者側の任意保険も治療費を自社で負担することはできる限り避ける傾向にあります。そのため、自賠責保険や任意保険を利用する場合には、治療の途中でも打ち切りをされてしまう可能性があります。

自分が納得するまで安心して治療を続けられるのは、労災保険を利用するメリットの1つと言えるでしょう。

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労災保険には過失相殺がない

労災保険では、被害者側に過失がある場合でも、過失相殺で保険金の額が減額されることはありません。

自賠責保険や任意保険を利用する際には過失相殺があるため、被害者側の過失が大きいケースでは、労災保険を利用するのが良いでしょう。

加害者が不明・無保険でも利用できる

労災保険は、加害者が不明である場合や加害者が保険に加入していなかった場合にも利用できます。

自賠責保険や任意保険を利用するには加害者の存在が前提となります。加害者に関係なく、安心して治療を受けられるのは、労災を利用するメリットと言えるでしょう。

特別支給金が支払われる

労災保険を利用すると、特別支給金の給付を受けることができます。特別給付金は、労働者の社会復帰を促進するために本来の給付金に加算して支払われるものです。

自賠責保険や任意保険から支払いを受けた賠償金の項目については、労災保険から重ねて支払いを受けることはできません。しかし、特別給付金は労災保険独自の項目です。そのため、自賠責保険や任意保険から満額の支払いを受けているケースでも、労災保険を利用すると特別支給金の分だけ上乗せして支払いを受けることができます。

交通事故の治療で労災保険を利用するデメリット

勤務中の交通事故の治療で労災保険を利用するデメリットとしては、次の2つが挙げられます。

デメリット
  • 労災保険からは慰謝料が支払われない
  • 利用するには会社の協力が必要

それぞれの内容について詳しく解説します。

労災保険からは慰謝料が支払われない

労災保険からは、交通事故で入通院した場合の慰謝料や後遺障害を負った場合の慰謝料は支払われません。

交通事故の被害者となってしまった場合、加害者が加入する任意保険や自賠責保険からは、入通院の精神的苦痛に対する入通院慰謝料や後遺障害を負ってしまったことに対する後遺障害慰謝料が支払われます。

入通院慰謝料や後遺障害慰謝料は、交通事故の賠償金の中でも大きな割合を占めるものです。労災保険を利用するだけでは慰謝料の支払いを受けることはできないため、慰謝料を受け取るには、任意保険や自賠責保険への請求もおこなわなければなりません。

労災保険からの支払いでは全ての賠償金を受け取ることができず、賠償金の請求先が複数になってしまうことは労災保険を利用するデメリットの1つです。

利用するには会社の協力が必要

労災認定を受けるための提出書類には会社に記載してもらわなければならない項目があるため、労災認定を進めるには会社の協力が必要です。

ところが、労災保険を利用すると会社が労働基準監督署から指導を受けたり、労災の保険料が上がったりする可能性があるため、会社によっては労災の利用に消極的な場合があります。

会社が労災の利用に消極的な場合には、会社の協力を得るのが難しいため、手続きがなかなか進められないケースもあるでしょう。

まとめ

労災保険には治療費の限度額がなく、過失相殺もないため、労災保険を利用すると安心して治療を続けられます。

しかし、労災保険では慰謝料の支払いを受けられませんし、会社の協力を得られない場合もあるでしょう。

労災保険と任意保険のどちらを利用するべきかわからない、労災保険を利用したいが会社の協力が得られずに困っているなど、労災保険の利用についてお困りの方は、当事務所までご相談ください。交通事故被害者の方が適切な治療、賠償を受けられるようサポートさせていただきます。

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