歩行者の飛び出しや信号無視による交通事故

歩行者の飛び出しや信号無視による交通事故

自動車と歩行者との交通事故では、自動車側の過失割合が高くなるケースがほとんどです。しかし、歩行者の飛び出しや信号無視を原因とする事故について、すべての責任を運転手に負わせるのはあまりにも酷でしょう。

今回は、歩行者の飛び出しや信号無視を原因とする交通事故について、基本となる過失割合や修正要素を説明したうえで、適正な過失割合を認定してもらうためのポイントについて解説します。

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目次

歩行者と自動車の交通事故では自動車側の過失割合が高くなる

歩行者と自動車との交通事故では、自動車の運転手が怪我をするケースは少なく、生身の状態にある歩行者が大きな怪我を負ったり、死亡したりするケースがほとんどです。

歩行者は、交通事故の被害者になりやすい「交通弱者」です。交通弱者である歩行者を保護するには、自動車の運転手に歩行者との事故を避けるための高度の注意義務を課す必要があります。そのため、自動車が歩行者と事故を起こした場合には、高度の注意義務を負う自動車側の過失割合が高くなるのです。

さらに、歩行者が子どもや高齢者などのケースでは、交通弱者としての保護の必要性がより高くなります。その結果、子どもや高齢者が被害者となったときには、自動車側の過失割合はさらに高く認定されます。

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歩行者側の過失割合が高くなるケースもある

交通弱者の歩行者と自動車との交通事故でも、歩行者側の過失割合が高くなるケースもあります。

歩行者の飛び出しや信号無視など自動車側にとって避けるのが難しい事故のケースで、常に自動車側の過失が高くなるのは、あまりに理不尽です。交通弱者の歩行者にも、一定の交通ルールは課せられています。歩行者側に重大な違反があるときには、歩行者側の過失割合も大きくなります。

実際、歩行者と自動車の交通事故では、歩行者側に何らかの交通ルール違反があるケースは少なくありません。ここでは、歩行者の飛び出しや信号無視を原因とする交通事故について、基本となる過失割合や過失割合を修正する要素について解説します。

歩行者の飛び出しによる交通事故

歩行者の飛び出しが原因の事故における基本の過失割合は、事故が発生した場所によって異なります。

事故の発生場所(信号機の設置なし)基本となる過失割合(歩行者:車)
横断歩道上0:100
横断歩道付近30:70
近くに横断歩道や交差点のない道路20:80

歩行者の飛び出しが自動車が通過する直前や直後の場合には、歩行者側の過失割合が5〜15%高くなります。

過失割合の修正要素となるのは、直前や直後の飛び出しだけではありません。歩行者が6歳以上13歳未満の児童、または65歳以上の高齢者であった場合には、自動車側により高度な注意義務が課されるため、歩行者側の過失割合は5〜10%低くなります。歩行者が6歳未満の幼児や身体障害者のケースでは、自動車側に求められる注意義務の程度はさらに高くなり、歩行者側の過失割合は10〜20%低くなります。

歩行者の信号無視による交通事故

自動車が信号無視をして、青信号を横断中の歩行者をはねた場合、過失割合は、100:0になります。しかし、歩行者は交通弱者であり自動車は青信号でも歩行者に注意しなければなりません。そのため、青信号で直進していた自動車が信号無視の歩行者をはねた場合の過失割合は、70(歩行者):30(自動車)となり、自動車にも30%の過失が認められます。

右折車による巻き込み事故では、自動車の運転手に課される注意義務の程度が高くなります。青信号で右折した自動車が信号無視の歩行者を巻き込んだ場合、過失割合は、50:50です。自動車の運転手としては、歩行者が近くにいるときは青信号であっても十分に注意しなければ、損害賠償責任や刑事責任を問われることになります

それぞれの事故で、自動車側の信号が青ではなく黄色のケースでは、自動車側の過失割合がさらに20%高くなります。たとえば、右折車の信号が黄色で、歩行者の信号が赤の場合の過失割合は、30(歩行者):70(自動車)です。

また、飛び出しのケースと同じく、歩行者の信号無視が自動車が通過する直前や直後のケースでは、歩行者側の過失割合が加算されます。歩行者が子どもや高齢者、身体障害者であったときには、自動車側の過失割合が加算されます。

過失割合の交渉におけるポイント

自動車と歩行者との事故では、過失割合について自動車側に不利な認定がされやすいです。ここでは、適正な過失割合を認定してもらうためのポイントを解説します。

証拠に基づいた主張をする

過失割合の主張をする際は、言葉だけでなく証拠に基づいた主張をすることが重要です。

事故状況についての証拠としては、次のようなものが挙げられます。

事故状況についての証拠
  • ドライブレコーダーの映像
  • 自動車の損傷状況、歩行者の怪我の部位・症状
  • 事故現場の写真
  • 実況見分調書
  • 目撃者の証言 など

最近では、多くの車両にドライブレコーダーが搭載されており、有力な証拠として活用されています。

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弁護士に相談する

保険会社の提示する過失割合に納得できないときは、できる限り早く弁護士に相談すべきです

過失割合の交渉をするには、証拠を集めるだけでなく、過去の裁判例や法律をもとに適正な過失割合を主張しなければなりません。弁護士に依頼すれば、保険会社との交渉を一任できるため、専門的知識に基づく適正な主張をしてもらえます。

弁護士特約に加入している場合には、弁護士費用の心配をする必要はありませんので、まずは相談から始めてみてください。

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